第3回サイエンスカフェ(2009年2月4日)レポート
- 参加者:16名(含むスタッフ5名)
- 話題:ナノテクノロジーが切り開く未来医療~
DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)とその周辺技術~
- スピーカー:岸村顕広さん(東京大学工学系研究科 マテリアル工学専攻 助教)
「サイエンスカフェに参加して」
はじめに「ナノ」とはどのくらいの大きさなのかという話があった。具体的には電子顕微鏡で見られるレベル、すなわち「ウイルス」のサイズとの比較がされた。
物質は「鉄原子が集まった鉄筋の橋」という風に、小さなものから大きなものの方向に見ていくか、「鉄筋の橋は鉄原子が集まってできていた」という大きなものから小さなものの方向に見ていくかで、見え方や考え方が変わる、という話から、「超分子」の話題に移った。
高分子は小分子が大きなエネルギーを使ってつながる共有結合が主であるため、強固であると同時に一度切れるとつなげることがむずかしい大きな分子。
それに対して「超分子」とは小分子が小さなエネルギー(分子間力)によって非共有結合でつながった大きな分子との説明が興味を引いた。
具体例として、高分子のゴムは切れると熱をかけないとつなげないが、超分子のゴムは切れても切り口を近づけるとまたつながって伸びるという例が面白おかしく展開された。
そして、超分子の天然物は「生物」というところから、水系に脂肪酸を入れておくと、それらが自然に集まって細胞のような球体(コアセルベート)が出来上がり、それはさらに大きくなると分裂をして二つになる様子を動画で示し、見ているものを「生命の起源」の世界へと誘った。
最後に、十分な治療効果を持ちながらも副作用がない薬「DDS」の開発の話に入った。
有効な薬を目的の所まで副作用なく送り届けるキャリア(運び屋)としては①ポリエチレングリコール(PEG)化タンパク質、②リポソーム、③ナノゲルがあることの説明を受けた。
そしてこれらのキャリアに副作用がないのは生体の免疫系には見えない(これをステルス性というらしい。そういえば、レーダーに察知されない戦闘機をステルス戦闘機というのを思い出した)からだそうだ。
生物由来のキャリアは赤血球やホルモンやウイルスなどがあり、いずれも目的の所まで血液の中で壊されることなく移行し、目的地に到着するとそこから血管外に移動して目的を達成するのだという。この原理をそのまま抗がん剤に応用したのが今回のDDSの話であった。
簡単に述べると、有効だが副作用の強い抗ガン剤をステルス性のキャリアで包み込み、①ガン細胞の近くまで移行させる。
そこでキャリアを②血管外へと移動させ、③ガン細胞に取り込ませた後に、④ガン細胞内でキャリアが壊れ、細胞障害性の高い(=薬効≒副作用)薬剤がガン細胞にアタックするようにキャリアをデザインするそうだ。
岸村先生らのグループのDDSは偶然性にも恵まれて、①-④までがうまくいき、実際に人で臨床治験を行っているらしい。
それにしても、ウイルスから感染の仕組みを学び、目的を達成する超分子を合成する。
話を聞いていて、何か、神への挑戦をしているように感じられた不思議な時間であった。
鈴木誠二(NPO法人からだとこころの発見塾 理事長)
はじめに「ナノ」とはどのくらいの大きさなのかという話があった。具体的には電子顕微鏡で見られるレベル、すなわち「ウイルス」のサイズとの比較がされた。
物質は「鉄原子が集まった鉄筋の橋」という風に、小さなものから大きなものの方向に見ていくか、「鉄筋の橋は鉄原子が集まってできていた」という大きなものから小さなものの方向に見ていくかで、見え方や考え方が変わる、という話から、「超分子」の話題に移った。
高分子は小分子が大きなエネルギーを使ってつながる共有結合が主であるため、強固であると同時に一度切れるとつなげることがむずかしい大きな分子。
それに対して「超分子」とは小分子が小さなエネルギー(分子間力)によって非共有結合でつながった大きな分子との説明が興味を引いた。
具体例として、高分子のゴムは切れると熱をかけないとつなげないが、超分子のゴムは切れても切り口を近づけるとまたつながって伸びるという例が面白おかしく展開された。
そして、超分子の天然物は「生物」というところから、水系に脂肪酸を入れておくと、それらが自然に集まって細胞のような球体(コアセルベート)が出来上がり、それはさらに大きくなると分裂をして二つになる様子を動画で示し、見ているものを「生命の起源」の世界へと誘った。
最後に、十分な治療効果を持ちながらも副作用がない薬「DDS」の開発の話に入った。
有効な薬を目的の所まで副作用なく送り届けるキャリア(運び屋)としては①ポリエチレングリコール(PEG)化タンパク質、②リポソーム、③ナノゲルがあることの説明を受けた。
そしてこれらのキャリアに副作用がないのは生体の免疫系には見えない(これをステルス性というらしい。そういえば、レーダーに察知されない戦闘機をステルス戦闘機というのを思い出した)からだそうだ。
生物由来のキャリアは赤血球やホルモンやウイルスなどがあり、いずれも目的の所まで血液の中で壊されることなく移行し、目的地に到着するとそこから血管外に移動して目的を達成するのだという。この原理をそのまま抗がん剤に応用したのが今回のDDSの話であった。
簡単に述べると、有効だが副作用の強い抗ガン剤をステルス性のキャリアで包み込み、①ガン細胞の近くまで移行させる。
そこでキャリアを②血管外へと移動させ、③ガン細胞に取り込ませた後に、④ガン細胞内でキャリアが壊れ、細胞障害性の高い(=薬効≒副作用)薬剤がガン細胞にアタックするようにキャリアをデザインするそうだ。
岸村先生らのグループのDDSは偶然性にも恵まれて、①-④までがうまくいき、実際に人で臨床治験を行っているらしい。
それにしても、ウイルスから感染の仕組みを学び、目的を達成する超分子を合成する。
話を聞いていて、何か、神への挑戦をしているように感じられた不思議な時間であった。