「読み聞かせ」を考えるフォーラム(2009年10月31日)レポート
いのちを感じ、生老病死に関する気づきを得られる、多彩なプログラムを提案
2009年10月31日(土)、"『からだといのちに出会うブックガイド』刊行記念 「読み聞かせ」を考えるフォーラム「五感で感じる からだといのちの絵本」"をアルカディア市ヶ谷で開催しました。
『からだといのちに出会うブックガイド』(読書工房刊)が2008年11月末に刊行されて以来、正式な刊行記念会を開いていなかったこともあり、健康情報棚プロジェクトと共催で「いのちを感じ、生老病死の気づきを得る」、そのコンセプトにもとづき、多彩なプログラムを提案しました。
2009年10月31日(土)、"『からだといのちに出会うブックガイド』刊行記念 「読み聞かせ」を考えるフォーラム「五感で感じる からだといのちの絵本」"をアルカディア市ヶ谷で開催しました。
『からだといのちに出会うブックガイド』(読書工房刊)が2008年11月末に刊行されて以来、正式な刊行記念会を開いていなかったこともあり、健康情報棚プロジェクトと共催で「いのちを感じ、生老病死の気づきを得る」、そのコンセプトにもとづき、多彩なプログラムを提案しました。
今回講師にお呼びしたのは、日本大学大学院総合科学研究科の泰羅雅登教授。先生は公文算数研究所と行った共同研究の成果について話してくださいました。内容は、
①幼児・子どもたちにとって難しい言葉でも、脳は語り手のしぐさや表情でなんらかの信号を受け取るのではないか、
②胎児のときから音楽を聞かせることは既に子どもの脳にいいことは証明されており、生まれてからも間接的に映像を見るより直接人が声で訴えかけるほうが脳に与えるインパクトは大きい、
③読み聞かせによる脳への疑似体験が好奇心や他者への配慮を促し、小さいときから相手を思いやり、自分の「いのち」を大切に感じ、将来、子どもたちが希望を持って生き抜く「力強さ」を育むと考えられる、といったものでした。
最初は絵本朗読で、発見塾会員でもあるK&Yクールズの寺澤京子氏、堀内由香氏のお二人が語ります。お二人はプロのアナウンサーでユニットを組んで活躍中。さあ~今日は何を読んでくれるのでしょう!
1冊目は『おかあさんがおかあさんになった日』(長野ヒデ子作、童心社)。女性が初めて赤ちゃんを出産するまでを描いています。その期待感、反対に不安、入り乱れる感情の機微が伝わってきます。そう、誕生日は子どもたちだけのものではないのです。おかあさんに感謝をする日でもあります。
2冊目は『くまのこうちょうせんせい』(こんのひとみ作、いもとようこ絵、金の星社)で、「いのちの授業」を続けた校長先生が病気になってはじめて気づいた実話をもとに描かれています。まさに"声"のトーンが人の強さや弱さを見事に表現しています。ついつい前に乗り出して、お二人のほうへ耳を傾けてしまいました。
最後は『ちいちゃんのかげおくり』(あまんきみこ作、上野紀子絵、あかね書房)。みなさんは影送りをしたことがあるでしょうか。ちいちゃんは、お父さんから影送りの遊びを教えてもらいました。ちいちゃんが住んでいた町も空襲に遭い、家族はばらばらになり、やがてその「いのち」も消えてしまいます。親子で遊んだ思い出は子どものこころの中に残るものなのです。戦争で奪われた家族の絆のことを思うとき、私の胸は痛くなりました。会場は静まり、肩をふるわせる参加者が大勢おられました。
『おかあさんのはなし』(アンデルセン原作、稲庭桂子脚本、いわさきちひろ画)、このお話は病気の坊やを死神に奪われた母が自分の目も髪も捨てて、ついには坊やをとりかえす母の愛を描いています。
『おかあさんのうた』(渡辺享子作・画)は、空襲に遭い、最後まで小さなわが子を守った母の話です。その無償の愛、そして「いのち」の重さと戦争について考えさせられました。
昔を懐かしんで聞いていらした紙芝居に、参加者はきっと驚かれたことでしょう。お二人が語る迫力につばを飲み込み、息を潜めて、真剣に聞き入っているではありませんか。私も物語がやま場にかかると、とっさにポケットからハンカチを出し、ただ溢れ出るものをふいておりました。会場を見渡せば、目を腫らした参加者があちらこちらに見られ、その余韻を漂わせておりました。
朗読そして紙芝居というものを人が真剣に語るとき、からだとこころが共鳴し、自然と涙が止まらなくなるのです。私は久しぶりにこのような「熱い」ものを感じることができ、今、何不自由ない時代に生きていることへの感謝をあらためて思いました。
(事務局 小俣みえ子)