第5回サイエンスカフェ(2009年10月6日)レポート
- 参加者:20名(含むスタッフ5名)
- 話題:「水と塩と腎臓と」
- スピーカー:日本医科大学腎臓内科教授である飯野靖彦さん
第5回からだとこころのサイエンスカフェに参加して
最初に飯野さんが腎臓の機能について説明をされた後、参加者からの質問に答えました。
その内容は下記のようなものです。
- ナメクジに塩をかけると小さくなる。これは細胞膜の内側のNa(ナトリウム)濃度よりも濃いNaが細胞膜の外側にあるので、浸透圧が生じ、ナメクジの細胞の中の水が外に引き出されるからである。
- ナメクジだけでなく海から生まれてきた生物は進化の過程を経て、Na濃度が同じ濃度に調節されている。
- どのようにして生物は細胞内のNa濃度を一定に調節しているのか? それは腎臓の中にある糸球体による血液のろ過と、尿細管における再吸収によってであ る。再吸収にはエネルギーを使うので、腎臓はたくさんの酸素を消費することから、臓器の中でも血液のたくさんの血液が集まる臓器である。
- 血液は腎臓の糸球体を通る際に1日に180リットルもろ過される。
- 腎臓の働きは水と電解質(Na等)の量と濃度の調節・pH調節・窒素の排泄・血圧調節ホルモンや造血ホルモンの産生である。
- ビールの中のアルコールは脳を刺激し、抗利尿ホルモンの分泌を抑え、タバコのニコチンは逆に促進するので、ビールは尿を出やすくし、タバコは尿を出にくくする。
- 浮腫の原因は心臓、肝臓、腎臓の機能低下による。腎臓の機能が低下すると電解質の中のK(カリウム)濃度が高まり、心機能停止なども引き起こす。Kは果物や野菜にたくさん含まれているので、腎不全の人は食事を制限する必要がある。
- CKD(慢性腎臓病)から透析に入ると医療費は1年間540万円ほどかかる。従って、約17年で1億円の医療費がかかり、これが問題になっている。透析患者は毎年1万人ずつ増えており、CKDから透析への移行を予防することが医療経済の観点から重要である。
飯野さんはユーモアを交えながら、わかりやすく話してくださり、質問は尽きることなく30分間以上続きました。
「トイレは我慢しない方がいい」との先生の話が効いたのか、この日のトイレは大人気でした。
「飯野先生の話をこんな身近で1500円で聞けるなんて!」と感激して帰路に着く参加者が印象的でした。
(文責:鈴木誠二)